HaraDesugi Diary

独身アラフィフおじさんの日記

映画「敵」を横浜ブルク13で観てきた

先日、桜木町のブルク13で映画「敵」を鑑賞した。

高齢者の間で話題になっている作品なだけあって客層は中高年者が多めで、座席は7~8割ほど埋まっていた。

www.dailyshincho.jp

主人公は、大学教授の職を辞めて10年、妻に先立たれた77歳の渡辺儀助。

祖父の代から続く日本家屋に暮らし、料理は自分で作り、晩酌を楽しみ、たまにわずかな友人と酒を飲み交わし、教え子を招いてディナーを振る舞ったりする。

預貯金があと何年持つか、何年生きられるかを計算しながら、日常は平和に過ぎていった。そんなある日、「敵」がやってくるという不穏なメールを受信したことから、儀助をとりまく環境が一変する。

中盤まではごくごく普通の高齢独居老人のルーティンを延々と見せられる。そのなかでも食事のシーンが抜群で、質素ながらも丁寧に作られた料理がとにかく美味そうだった。孤独のグルメのモノクロ無言版といった印象を受けた。

また、友人と飲みに行ったり、教え子が自宅を訪ねてきたりと、ささやかながらも楽しい日々をすごしているように描かれているが、これは壮大な前フリである。

「独りでもこんな老後なら結構楽しいのではないか…」と存分に思わせたところで「敵がやってくる」という不穏なメールが届き、儀助の日常は一変。

夢や妄想と現実の境界線が徐々に曖昧になっていき不穏な雰囲気が漂ってくる。何が現実で何が夢・妄想なのか?観ているこちらに明確な答えを与えないまま物語はエスカレートしていき…。

細部までこだわりながら撮影した映像のパーツを緻密に組み合わせたような作品に仕上がっており、儀助がただただ普通に生活する序盤の前フリもまったく退屈せずに観続けることができた。

若い人にはピンとこなかったかもしれないが、年齢が近い高齢者の方々は自分自身の未来と重ね合わせて「自分ももしこうなってしまったら…」と複雑な気持ちになっていたのではないだろうか。

本作が高齢者の間で話題になっている理由がよく分かった。

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色々と気になるところがあり改めてじっくり観察したいので配信を待ちたいと思う。

映画「敵」スタッフ・キャスト

監督: 吉田大八

原作: 筒井康隆『敵』(新潮文庫刊)

脚本: 吉田大八

出演:長塚京三、瀧内公美、河合優実、黒沢あすか

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